採用のページに書いていないことほど重要である
採用のページを開く。宿の紹介があり、理念があり、仕事の内容があり、福利厚生が並んでいる。読み終えて、1日の働き方が思い浮かばない。こういうページは、少なくありません。
書いていない場所は、宿の急所であることが多い
採用のページに書かれていない項目には、理由があります。
- 書くと応募が減りそう
- 実際が、書ける状態になっていない
- 決めていないので、書けない
- 誰も気にしていない
4つ目の場合は問題になりません。困るのは、1つ目から3つ目です。この3つは、宿の中で扱いにくい場所を示しています。
あなたの宿の採用ページを思い浮かべてみてください。書かれていない項目は、どれでしょうか。
書かれていないことが多い6つ
1. 実際の休憩
「休憩60分」と書いてあっても、取れているかどうかは書かれていません。取れていない宿では、この欄が短く済まされます。
書ける形にするなら、こうです。「昼休憩は60分、繁忙期は30分になる日があります。その場合は振替を入れています」。ここまで書けると、応募者は想像できます。
2. 残業の見込み
「残業ほとんどなし」は、よく見る表現です。ただ、ほとんどなしが何時間なのかは書かれていません。
月に5時間と月に4十時間では、生活が違います。見込みの時間を書けるなら、書いたほうが信頼されます。書けないなら、実態がまだ決まっていないということです。
3. シフトの決まり方
「シフト制」とだけ書かれて、どう決まるのかがないことがあります。
- 希望はいつ出すのか
- 希望は通るのか
- 誰が組むのか
- 連勤の上限はあるのか
この4つが書かれていないと、応募者は「自由に休めない宿かもしれない」と想像します。想像は、実際より厳しいほうに振れます。
4. 教える体制
「未経験歓迎」の隣に、誰がどう教えるかがないことがあります。
教える人が決まっていない宿では、この欄は書けません。書けないなら、入った人が自分で覚える形になっている可能性があります。
1行で構いません。「最初の3ヶ月は、◯◯担当の先輩と組んで覚えていきます」。この1行があると、「未経験歓迎」が信じられる言葉になります。
5. 繁忙期の実際の動き
「繁忙期は忙しくなります」では、何も伝わりません。
- 何月が繁忙期か
- その期間は何時から何時か
- 休日がどう変わるか
- 食事や休憩はどうなるか
書ける宿は多くありません。ただ、書けた宿は、合う人を集めます。書けない宿は、来た人が入社後に知ります。入社後に知ると、その人は困ります。
6. 宿の人数と構成
「スタッフ1同」は便利ですが、何人なのかがわかりません。
5人の宿と5十人の宿では、働き方がまったく違います。人数と、勤続の構成(例:8名中5名が5年以上)があると、応募者は職場の形を想像できます。
書いていないことが、入社後に出る
書かれていない項目は、入社してから本人が知ります。知ったときの反応は、2つに分かれます。
- 「思ったより大変だった」→ 3ヶ月以内に辞める
- 「思っていたとおりだった」→ 続く
2つ目の反応が出るのは、入社前に知っていた場合だけです。書かれていないと、1つ目になります。
書かないことは、応募者を増やすように見えます。ただ、増えた応募は、辞める人に変わります。辞めた人の分の仕事は、残った人に移ります。
書けるようにするには、実態を直す
書けない項目があるなら、2つの道があります。
道1:書けるように、実態を変える
休憩が取れていないなら、取れる体制にする。残業の見込みが出せないなら、時間を記録する。記録すると、見込みが出せます。
道2:書けない理由を、正直に書く
「繁忙期は休みが減ります。減った分は、閑散期に連休として返しています」。実態が完全でなくても、正直に書くと信頼されます。
道1が理想ですが、時間がかかります。道2は、今日できます。道2から始めて、道1に進むのが現実的な順番です。
書いていないことが、社内の課題リストになる
採用ページを書こうとして手が止まった項目は、そのまま宿の課題のリストです。
- 休憩が書けない → 休憩の体制が課題
- 残業が書けない → 時間の記録が課題
- 教育が書けない → 教える人の配置が課題
- 繁忙期が書けない → 人員計画が課題
リストができたら、採用の担当だけの話ではなくなります。経営の議題になります。
採用ページは、外に向けた資料であると同時に、内側を映す資料です。
自館の改善に向けて今日できること
自分の宿の採用ページ(なければ求人票)を開いて、書かれていない項目を3つ書き出してみてください。
3つ書けたら、それぞれの隣に「なぜ書けないか」を1行書きます。
「実態がそうなっていないから」なら、直す課題です。「決めていないから」なら、決めるだけです。決めるだけで書ける項目が、1つはあることが多いです。 そこから手を付けてください。