外国人材 / GLOBAL HR多文化チーム
TEAM対象: 経営者・支配人

地域社会と外国人スタッフのあいだ

外国人スタッフは、宿で働くだけでなく、宿のある町で暮らします。町と人のあいだには、摩擦もつながりも起きます。あいだに立つのは、宿です。


「あいだ」を放置すると、何が起きるか

宿が「あいだ」に立たないと、2つの形が起きます。

形1:摩擦が育つ

ゴミの出し方、夜の声、自転車の止め方。小さな違いが「あの宿の人たちは」という話になります。話は、宿の評判に乗ります。

形2:つながりが生まれない

摩擦がなくても、町とスタッフが顔見知りにならない形があります。この形では、困ったときに助けてもらえません。災害のとき、病気のこと、町の情報のとき。知っている顔がない町は、住みにくい町です。

住みにくさは、退職の理由になります。地域との関係は、採用と定着の外側のようで、実は内側です。

あなたの宿のスタッフは、町で顔を知られていますか。知られているなら、どんな形で知られているでしょうか。

摩擦の正体は、多くの場合、情報の空白

摩擦が起きるとき、正体は「マナーの悪さ」でないことが多いです。情報の空白です。

  • ゴミの分別のルールを、誰も伝えていない
  • 町の暗黙の習慣(挨拶の形、祭りの日、静かにする時間)を、誰も説明していない
  • 町の人にも、新しい人が来た情報が渡っていない

空白は、両側にあります。スタッフの側の空白は、宿が埋められます。町の側の空白も、宿が埋められます。埋めると、摩擦の多くは起きる前に消えます。

つながりの作り方は4つ

1. 宿が先に挨拶する

スタッフを連れて、近隣に1度挨拶に行きます。「今月から、うちで働くAです」。名前と顔が渡ると、町の見方が変わります。「見かけない人」から「宿のAさん」に変わる瞬間です。

2. 1人ずつ紹介する

紹介の形は、「外国人スタッフを紹介します」ではありません。名前で、1人ずつです。固めて紹介すると、町は「グループ」として見ます。グループの見方は、距離の形になります。

3. 地域のルールを1枚にする

ゴミの日、資源の分別、夜の音、雪かきの形(地域によります)。1枚の紙にして渡します。渡すときに「町の人と気持ちよく過ごすため」と添えると、ルールが「縛り」でなく「参加の形」になります。

4. 町の行事に、宿として入る

祭り、防災の集まり、清掃の活動。宿が参加している場所に、スタッフも入れます。「宿の1員として」入る形なら、本人の負担は軽くなります。断る自由も残します。

宿は「橋」であって「壁」でない

近隣から苦情が来ることがあります。このときの宿の動きで、関係の形が決まります。

壁の動き:苦情を本人にそのままぶつける(「近所から苦情が来たぞ」)。本人は町を「怖い場所」として覚えます。覚えると、町に出なくなります。出なくなると、摩擦は見えなくなり、育ちます。

橋の動き:まず宿が受け取る。「確認して、お返事します」。事実を確認し、本人にはルールの形で伝える(「この時間は、声が外に出やすいです」)。町には宿から返事をする。

橋の動きは、1手間かかります。ただ、1手間がスタッフの町の居場所を守ります。居場所がある人は、続きます。

防災は、つながりの1番の実利

地域の防災(避難の場所、訓練、連絡網)にスタッフが入っているか、1度確認してください。

顔を見知っている町は、災害のときに数えられます。「宿のAさんは避難したか」が話題になる町と、ならない町では、安全が違います。

日本語の防災情報は、外国人住民に届きにくい形があります。届かない情報は、ないのと同じです。宿が1枚で渡す(避難場所の地図、持ち物、連絡先)と、その空白は埋まります。

地域との関係は、採用にも返る

つながりができた町では、3つの形で返ってきます。

  • スタッフが続く:町に顔があると、暮らしが重くなくなります
  • 紹介が生まれる:町の人からの「あそこで働きたい人がいる」の声
  • 宿の評判:地域に開かれた宿は、お客様にもそう見えます

3つとも、お金では買えない形です。挨拶の1回から始まるのも、3つに共通します。

やらないほうがよい3つ

  • 「迷惑をかけるな」だけで渡す:注意だけの関係は、緊張の形になります。ルールと1緒に「困ったら宿に言って」を渡します
  • スタッフを町から隠す:寮に閉じる形は、摩擦を先送りします。先送りした摩擦は、大きく育ちます
  • 苦情を無視する:近隣の声は、1度で止まりません。放置すると、次の声は宿でなく行政や大家に行きます

明日の朝礼や引き継ぎで試せること

近隣の3軒を思い浮かべて、そこに住む人が、あなたの宿のスタッフの名前を何人知っているか、想像してみてください。

誰も知らない形なら、次の休日に挨拶を1回してください。スタッフと1緒に、名前を1人ずつ渡します。

1人でも知られている形なら、その人に「いつもありがとうございます」を言いに行ってください。知っている顔が1つある町は、スタッフにとって住める町です。住める町は、続く職場の外側の半分を作ります。



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