小さな宿でもできる採用広報の始め方
採用広報というと、動画や採用サイトやSNS運用を思い浮かべます。3人で回している宿には、どれも重すぎます。この記事では、専任の担当がいなくてもできる4つだけを書きます。全部で週に3十分あれば回ります。
採用広報は「募集の前に、知っておいてもらう」こと
求人を出してから知ってもらうのでは、遅いことがあります。応募者は、求人票を見る前に宿の名前で検索します。そこで何も出てこないと、応募の前に止まります。
採用広報の目的は、この検索の先に何らかの答えを用意しておくことです。大きくなくて構いません。あるかないかで、応募の数は変わります。
あなたの宿の名前で、いま検索してみてください。最初に出てくる3件は、何でしょうか。
やること 1:宿のサイトに「採用」のページを1枚
これだけで、効果は出ます。1枚に載せるのは、次の5つです。
• いま募集している職種と条件(なければ「現在は募集していません」でよい)
• 1日の流れ(出勤から退勤までの時刻)
• 働いている人の数と構成(例:常勤4名、パート3名)
• 写真3枚(職場、休憩室、まかない)
• 連絡先と、返事までの日数
文章は短くて構いません。写真3枚のほうが、長文より伝わります。
写真は、スマートフォンで撮ったもので十分です。プロに頼む必要はありません。頼むと、更新できなくなるからです。
撮るときに1つだけ意識するなら、人の手が入っている写真にしてください。畳まれた布団、盛り付けた料理、拭き終わった廊下。人の仕事が写っている写真は、働いたときの姿を想像させます。
やること 2:月に1度、職場の様子を1枚だけ残す
SNSを毎日更新する必要はありません。月に1度で構いません。
- 今月のまかない
- 新しく入った備品
- 繁忙期が終わったあとの休憩室
- スタッフの後ろ姿(顔を出したくない人もいるので、確認してから)
月に1度なら、負担になりません。1年たつと十2枚たまって、宿の記録になります。この記録が、採用のときに効きます。
更新が止まったアカウントは、ないほうがましなことがあります。「この宿は動きが止まっている」と読まれるからです。始めるなら、続けられる頻度で始めてください。
毎日更新している宿を真似る必要はありません。月に1枚を1年続けるほうが、毎日更新して3ヶ月で止まるより、応募者にはよく見えます。
やること 3:働いている人に、1度だけ話を聞く
採用広報の素材は、宿の中にあります。外から作る必要はありません。
聞くのは、3つだけです。
- ここで働こうと思った決め手は何でしたか
- 入る前に想像していたのと、違ったことは何ですか
- この宿の、人には言いたいくらい良いところはどこですか
3番目の答えが、そのまま求人票の1行になります。経営者が書くと自慢になりますが、働いている人の言葉なら、そのまま載せられます。
載せるときは本人の許可を取ってください。名前を出したくない人には、イニシャルか「フロント担当」のような書き方があります。
2番目の「想像と違ったこと」は、載せにくい答えが返ってくることがあります。載せないとしても、その答えは求人票を直す材料になります。聞いて終わりではなく、直してから次に進んでください。
やること 4:地元に、顔を出しておく
小さな宿の採用は、地元のつながりで決まることがあります。
- 地域の行事に参加する
- 商工会の集まりに出る
- 地元の学校に、職場見学を申し出る
- 前の職場を辞めた人に、丁寧に接しておく
最後の1つは、採用広報としては見落とされがちです。辞めた人が地元にいて、その人が宿の話をしている。これは、どの媒体よりも強い影響力を持ちます。
順番:どれから始めるか
4つを1度に始めると、続きません。順番をつけるなら、こうです。
• 採用ページを1枚(今日できる。効果も今日から出る)
• 働いている人に3つ聞く(今週できる。素材が手に入る)
• 月に1度の写真(来月から。続けられる頻度で)
• 地元に出る(今年のうちに1度。即効性はない)
あなたの宿が、いま何もしていないなら、1だけで十分です。まず「ある」状態をつくってください。
採用広報は、採用していないときほど効く
募集がないときに発信していると、いざ募集をかけたときにすでに宿を知っている人が応募してきます。
募集をかけてから広報を始めると、間に合いません。募集していない時期にこそ、月に1度の1枚を残しておく意味があります。
いま募集をしていないなら、ちょうど始めるタイミングです。
現場スタッフと交わしたい小さな対話
宿の名前で検索して、出てきた3件をメモしてみてください。 その3件が、いま応募者が目にしているあなたの宿です。
3件のうち1つでも、自分がコントロールできるものがあるでしょうか。宿のサイトがあれば、そこは変えられます。変えられる場所が1つあれば、採用広報はそこから始められます。