採用 / RECRUITMENT面接・選考
SEARCH対象: 経営者・支配人

旅館の採用面接で確認したい5つのこと

面接は「この人は優秀か」を判定する場というより、この人がうちの宿で働き続けられるかを、1緒に確かめる場だと考えています。判定しようとするほど、相手は本当の話をしにくくなるからです。


旅館の面接は、前提が違う

旅館の採用面接には、他の業界にはあまりない制約が3つあります。

繁忙期と閑散期の差が大きいこと。GW、お盆、年末年始、紅葉、雪見。目の前の相手は、1年で最も忙しい数週間を1緒に越える人になるかもしれません。

お客様と直接関わる時間が長いこと。技術は後から身につくことがありますが、お客様の前での振る舞いには、その人の前提が出やすいものです。

チームで完結すること。清掃が間に合わなければフロントは部屋を売れません。

この3つを踏まえると、確認しておきたいことが見えてきます。


1. いつ、どれだけ働けるのか

「シフト制で大丈夫ですか」に「大丈夫です」以外はありません。確認したいのは意欲ではなく条件です。

  • 早番(6時出勤)は続けられそうか。通勤手段と時間は現実的か
  • 繁忙期の連勤はどこまで可能か。休みたい時期はあるか
  • 中番・遅番・夜勤の混在は大丈夫か
  • 介護、子育て、通学など、動かせない予定はあるか

聞きにくい話かもしれません。ただ、入社後に発覚するほうが高くつきます。「条件を聞くのは、あなたの生活を守るためでもある」と前置きしてから聞いてみてください。生活のリズムが合わないまま入った人が、数ヶ月で疲れていく。そんな場面は、宿では珍しくありません。

2. 「わからない」と言えるか

アレルギーの申し出、予約サイトの2重予約、お客様の体調不良、設備の不具合。接客は、想定外が毎日起きます。

「これまで、わからなくて困ったことを、誰かに聞けなかった経験はありますか」

上手な回答かどうかよりも、少し考えてから正直に話し始めるかを見てください。完璧なエピソードを語る人は、現場でも完璧に振る舞おうとして抱え込むことがあります。宿で困るのは、間違うことそのものより、間違ったことが共有されないことのほうかもしれません。

3. 前の職場の話を、どうするか

悪口を言うかどうかを見るのではありません。置かれていた状況を、どれほど具体的に説明できるかを見ます。

「人間関係が悪くて」と言う人。「繁忙期に3人抜けて、休憩が取れない状態が続いたので」と言う人。どちらも辞めた理由ですが、後者のほうが、実際に何があったかが伝わってきます。そして後者のように話せる人は、入社後も「いま何が起きているか」を言葉にできる可能性があります。

なお、あなたが前の職場の話を丁寧に聞いているかは、そのまま「この宿は人の話を聞く場所なのか」の予告編になります。

4. お客様との、たった1つの場面

「接客が好きですか」は、あまり機能しません。好きと答える以外に選びようがないからです。代わりに、具体的な1場面を聞いてみてください。

「これまで、誰かに何かを伝えて、うまくいった(いかなかった)場面を1つだけ教えてください」

「マニュアルどおりに案内しました」で終わる人と、「お子さんが飽きてきたようだったので、先に部屋のトイレの場所をお伝えしました」と話す人。この差は技術の差というより、相手を見ていたかどうかの差です。

5. まず、何ができるようになりたいか

「キャリアプランを教えてください」は、宿では機能しにくい質問です。半年後の自分の姿を想像しにくい仕事だからです。もう少し手前を聞いてみてください。

「うちで働き始めたら、まず何ができるようになりたいですか」

答えの内容より、答えが出るまでの時間を見ます。何も思い浮かばない人は、この宿で働く自分をまだ想像できていません。それは本人の問題というより、宿の説明が想像できる形になっていなかった可能性もあります。その場合は、残り時間を「宿の1日の流れ」を説明する時間に使いましょう。


聞く前に、こちらが見せておくこと

  • 早番・中番・遅番、それぞれの時刻の実例
  • 繁忙期の実際の動き(何人が、何時から何時まで、何をするか)
  • 休憩がいつ取れているか(取れていないなら、正直に)
  • 入社後に教わる順番と、教える人の名前

面接は相互確認の場です。宿が伏せた条件は入社後に表面化し、そのとき失われるのは、その1人だけではなく現場に残った人たちの信頼です。

なお、応募者の国籍、出身地、家族構成、婚約の有無などは、適性・能力と関係がないため確認すべきではありません。これは考え方ではなく、ルールです(『採用面接で聞くべきでないこと』)。


今日、できる1つのこと

次の面接の前に、「うちの宿の繁忙期の1日」を紙に書き出してみてください。 何時に誰が何人いて、何時に休憩が入るのか。書けない箇所があれば、そこは面接で説明できず、入社後に人がつまずく場所です。



NEXT READ

RC010採用面接の評価シートはどうつくるか→ OB001入社初日にやっておきたいことの順番→ RC036採用人数を増やせば人手不足は解決するのか→