外国人材 / GLOBAL HR日本語・コミュニケーション
SEARCH対象: 人事担当者

採用時の日本語レベルはどこで確認すればいいのか

履歴書に「JLPT N3」。これで日本語がどれくらいかわかるかというと、実はあまりわかりません。資格は入口の情報で、仕事の日本語は別の形をしています。確認する場所は3つあります。


資格だけではわからない理由

日本語の資格は、主に2つあります。

  • JLPT(日本語能力試験):N5〜N1の5段階。読む・聞くを中心に測ります
  • JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト):特定技能で使われることが多い試験。生活と仕事に役立つ日本語の基礎を測ります

どちらも役に立ちますが、「話す」力を直接は測りません(JLPTは筆記と聴解です)。宿の仕事は、話す場面が多い仕事です。だから資格と実際のあいだに差が出ることがあります。

差は両方向に出ます。N4でも接客が丁寧な人もいれば、N2でも早口の指示を聞き取れない人もいます。資格は「だいたいの位置」で、位置だけでは人はわかりません。

確認する3つの場所

場所1:資格(位置を知る)

履歴書や応募書類で、持っている資格を確認します。見るポイントは2つです。

  • どの試験か(JLPTかJFT-Basicか、他の試験か)
  • 合格した時期(古い合格は、いまの力と離れていることがあります)

資格がないから不合格、ではありません。資格がなくても、話せば十分な人はいます。資格は3つの場所のうちの1つです。

場所2:面接の会話(実際のやりとりを見る)

面接では、次の3つの形で見ます。

形1:経験の説明

「前の仕事で担当していたことを教えてください」。説明のしかたで、言葉の組み立てが見えます。流暢さではなく、質問の意味を取れているかを見ます。

形2:聞き返しのしかた

わざと難しい言い方をする必要はありません。ただ、話を聞いたあとに「わかりにくいところはありましたか」と1度聞きます。ここで「ここがわかりませんでした」と言える人は、仕事の中でも聞けます。言えない人は、入ってから黙って困ることがあります。

形3:生活の話

「いまどこに住んでいますか」「どうやってここまで来ましたか」。日常の話題は、資格がなくても話しやすい形です。ここで言葉が出ない場合は、仕事の中の会話も重い可能性があります。

場所3:状況タスク(仕事の場面に近づける)

面接の中で、実際の仕事に近い形を1度やってみます。

  • 読む:マニュアルの1節を読んでもらって、「このあと何をしますか」と聞く
  • 聞く:「お客様から『お風呂は何時までですか』と聞かれたら、どう答えますか」
  • 伝える:「清掃が終わったことを、私に報告してください」

3つとも、5分以内でできます。答えの正しさではなく、やりとりの形を見ます。聞き取れて、考えて、言葉にできるか。詰まったときに、どうするか。

確認の線を、仕事の側に引く

ここで1つ、置いておきたいことがあります。

日本語の確認は、「この人はダメ」を見つける作業ではありません。仕事のどの場面で、どのくらいの言葉が要るかを見て、入ったあとの教育の材料にする作業です。

  • 指示を聞く場面が多い仕事 → 聞く力を重点に見る
  • お客様と話す場面が多い仕事 → 話す力を重点に見る
  • 裏方の仕事が中心 → 読みと報告ができれば足りる

あなたの宿で、日本語が1番要る場面はどこでしょうか。そこを決めると、確認する場所が絞れます。全部の場面で完璧な日本語を求めると、採れる人がいなくなります。

もう1つの線は、公平性です。日本語の確認は仕事に必要だからするのであって、国籍や見た目から「この人はこれくらいだろう」と推測しないことが前提です。同じ国籍の人の中でも、日本語の力は人によって大きく違います。見るのは、目の前の1人です。

足りなかったとき、採用を止めるか

確認して、「仕事の場面に届いていない」と見えることがあります。このときの判断は3つです。

判断1:届いていない場面が、仕事の中心でない

裏方の仕事で、報告ができれば足りるなら、採用できます。届いていない部分は、入ってから積み上げます。

判断2:中心だが、教育の用意がある

教える人がいて、やさしい日本語のマニュアルがあるなら、採用できます。教育の時間は、シフトに入れておく必要があります。

判断3:中心で、教育の用意がない

この場合は、採用を見送る形もあります。見送りは、本人のためでもあります。教育がない職場に入った人は、困るのは本人です。

3つの判断のどれに入るかは、宿の用意で決まります。用意がないなら、用意から作る話になります。

採用のあとにつながっている

確認した結果は、入社後の教育にそのまま使えます。

  • 面接で「聞き返しができる」と見た → 指示は口頭で大丈夫
  • 「読むのが遅い」と見た → マニュアルに写真と図を増やす
  • 「報告の形が弱い」と見た → 報告の型を最初に教える

3つとも、確認していれば初日から手を打てます。確認していないと、困った場面が出てから気づきます。採用時の確認は、選考のためだけにするものではありません。

最初の1歩としての小さな実践

あなたの宿の仕事の日本語場面を3つ、紙に書いてみてください。(例:指示を聞く/お客様に答える/申し送りを読む)

3つ書けたら、それぞれの隣に「いまのスタッフはどのくらいできるか」を書きます。書けたら、それが次の採用で見る基準です。基準があると、面接での確認が3つの場所(資格・会話・タスク)に整理されます。

基準が書けない場合は、状況タスクの3つを次の面接でそのまま使ってください。5分ずつで、仕事の日本語の形が見えます。



NEXT READ

GH011外国人スタッフ向けのマニュアルはどうつくるか→ GH008文化や習慣の違いが気になるとき・まず何を確認するか→ RC041採用面接で聞くべきでないこと→