採用 / RECRUITMENT採用コスト・人件費
KNOWLEDGE対象: 人事担当者

採用コストとは何か・どこまで含めて考えるか

採用コストと聞くと、求人媒体に払った金額を思い浮かべます。ただ、それは全体の1部です。実際に宿から出ていったお金と時間を全部含めると、1人あたりの金額は大きく変わります。この記事では、含める範囲を3段階に分けて示します。


採用コストの求め方

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採用単価 = 採用にかかった総額 ÷ 採用した人数

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式はこれだけです。問題は、分子に何を入れるかです。入れる範囲によって、同じ宿の同じ採用でも金額が変わります。

だから採用コストを語るときは、金額よりも先に範囲を決める必要があります。範囲を決めずに金額を比べると、話がかみ合いません。

「うちの採用単価は高い」と感じているなら、まず何を足した数字なのかを確認してください。媒体費だけなら高い理由が別にあり、人件費まで含めているなら他の宿より低いこともあります。

範囲の3段階

第1段階:外に出たお金だけ

  • 求人媒体の掲載費
  • 人材紹介会社への手数料
  • 採用サイトの制作費
  • 会社説明会・合同説明会の出展料
  • 面接の交通費(応募者に支給した場合)

ここまでは、会計上で追えるお金です。「採用にいくら使かったか」と聞かれたときに、すぐ答えられる範囲でもあります。

確認しておきたいのは、この金額が去年より増えたのか減えたのか、即答できるかです。できないなら集計の場所が決まっていません。ノートかファイルを1つ決めるだけで、第1段階は見えるようになります。

第2段階:中の人件費を加える

  • 面接に使った時間(経営者・支配人・現場リーダーの分)
  • 求人票を書く時間
  • 見学対応の時間
  • 書類選考の時間

1段面接に2人が1時間ずつ同席するなら、その2時間分は採用に使われた時間です。時給換算すれば金額になります。

ここを含めない宿が多いのですが、小さい宿ほど、この時間が大きな割合を占めます。経営者自身が面接しているなら、その時間は宿で1番高い時間です。加えて、応募が来なかった場合の時間も採用コストです。求人票を書いた3時間は、採用できなかったとき成果ゼロで消えます。

第3段階:入社後のコストを加える

  • 教育にかけた時間(教える側の時間も含む)
  • 制服・備品・ロッカーなどの初期費用
  • 研修や試用期間中の、生産性が低い期間の損失
  • 辞めた場合の、ここまでにかかった全額

1人が入って3ヶ月で辞めると、第1段階と第2段階の金額がそのまま消えます。第3段階まで見ると、採用コストは「1人を採用して、戦力になるまで」の総額になります。

あなたの宿で、戦力になるまで何ヶ月かかるでしょうか。その月数が、採用コストの実質的な長さです。

どこまで含めるべきか

答えは、目的によります。

| 目的 | 含める範囲 |

|---|---|

| 予算の申請・決算の説明 | 第1段階 |

| 媒体の選び方を決める | 第2段階まで |

| 定着施策に投資する判断 | 第3段階まで |

もったいないのは、第1段階だけを見て「採用は高い」と言い、第3段階を見ないまま人を採り続けることです。安い媒体で採って、3ヶ月で辞めて、また採る。この繰り返しは、第1段階の合計だけを見ると安く見えます。

目的に合わせて範囲を替えるのが、実用的なやり方です。

採用コストと離職コストは、つながっている

1人を採用する金額と、1人が辞める金額は、別々の話ではありません。

辞めた人の分の仕事を、残った人が引き受けます。残業が増えます。次の採用を始めます。つまり離職は、次の採用コストを確定させる出来事です。

採用コストを下げたいなら、媒体を変えるより先に、辞める理由を1つ減らすほうが効くことがあります。

あなたの宿では、直近で辞めた人の仕事は、いま誰がやっていますか。その人の残業が増えているなら、その人が次の採用コストの発生源です。

見えないコスト:機会損失

求人を出して、応募が来ない期間。このあいだに起きたことを、金額にするのは難しいです。ただ、なかったことにはなりません。

  • 清掃が間に合わず、売れなかった客室
  • 配膳の手が足りず、短かった接客の時間
  • 休めなかった人が、翌週に休んだ分

これらは採用コストとしては記録されません。しかし採用しなかったことのコストです。採用にかけるお金を渋るときに、1緒に置いておきたい視点です。

売れなかった客室は数字に残りますが、それが「人がいなかったから」だと結びつけて見る宿は多くありません。稼働率が落ちた月と、人手が足りなかった月を並べるだけでも、関係は見えてきます。

数字を作らないために

この記事には、具体的な金額を書いていません。「1人あたり◯◯万円」という数字は、宿の規模・地域・職種・媒体で大きく変わるからです。

代わりに、自分の宿の数字を出す手順を置いておきます。

• 直近1年で採用した人数を書く

• その期間の求人媒体費の合計を書く

• 面接に使った時間 × 人数 × 時給換算を足す

• 教育に使った時間を足す

4つの数字が揃えば、あなたの宿の採用単価が出ます。外部の平均値より判断に使えます。

数字が出たら、職種ごとに分けてみてください。 フロントと清掃では、かかる時間も媒体も違います。分けないと、平均値だけが残り、打つ手が見えなくなります。

職場の1歩を踏み出すためのヒント

直近1年で採用した人数と、求人媒体に払った合計額を、紙に2つだけ書いてください。 割れば、第1段階の採用単価が出ます。

出たら、その隣に「面接に何時間使ったか」を書いてください。経営者自身が1人30分、3人面接したなら1.5時間です。時給換算して足すと、第2段階の金額になります。

2つの数字の差が大きいなら、あなたの宿の採用コストはお金ではなく時間にあります。その場合、媒体を増やすより、選考の流れを短くするほうが効きます。短縮した分は、教える時間に戻せます。



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