外国人スタッフを受け入れる準備チェックリスト
受け入れの準備は、「何をやればいいか」が並んでいれば難しくありません。難しいのは、並んでいないことです。この記事は、紙に写して使えるチェックリストです。
リストは4つの時期に分かれる
準備は、入社日から逆算して4つに分かれます。
| 時期 | やることの性質 |
|---|---|
| A. 求人を出す前 | 制度と受け入れの形を決める |
| B. 面接〜内定 | 本人の確認と、条件のすり合わせ |
| C. 内定〜入社前 | 住居・手続き・社内の準備 |
| D. 入社初日〜3ヶ月 | 生活と仕事の立ち上げ |
時期ごとに項目を並べます。読みながら、あなたの宿の状況に置き換えてください。項目に担当と期限を足すと、そのまま準備表になります。
A. 求人を出す前(7項目)
- [ ] どの在留資格の人を想定するか決めた
- [ ] 仕事の内容が、その資格の範囲内か確認した
- [ ] 報酬が、同じ仕事の日本人と同等以上になっている
- [ ] 特定技能1号なら、支援を自分でやるか委託するか決めた
- [ ] 委託するなら、登録支援機関の候補を比べた
- [ ] 住居の用意の形を決めた(寮・アパート・本人任せ+支援)
- [ ] 社内研修の予定を立てた
この7つのうち、あなたの宿はいくつ答えを持っていますか。決まっていないものがあるまま求人を出すと、応募が来てから慌てる形になります。住居は特に時間がかかるので、先に決めます。
B. 面接〜内定(5項目)
- [ ] 在留カードを確認した(資格・期間・資格外活動・有効期間)
- [ ] 日本語のレベルを、話して確かめた
- [ ] 労働条件を、本人が理解できる形で伝えた(母語の資料を含む)
- [ ] 本人の生活状況を確認した(いまどこに住んでいるか、家族はいるか)
- [ ] 入社日を、住居と手続きの時間を入れて決めた
あなたの宿では、内定から入社までどのくらい見ていますか。急かすとCの準備が間に合いません。海外から来る場合は手続きに時間がかかるので、長く取ります。
C. 内定〜入社前(8項目)
- [ ] 住居が決まった(鍵の受け渡しまで)
- [ ] 労働条件通知書を、理解できる形で渡した
- [ ] 外国人雇用状況の届出の準備をした
- [ ] 社会保険・労働保険の手続きを確認した
- [ ] 特定技能なら、支援計画の書類を整えた(義務的雇用措置・相談体制など)
- [ ] やさしい日本語のマニュアルを用意した
- [ ] 教育係を決めて、教える時間をシフトに入れた
- [ ] 初日のスケジュールを作った(迎えの場所と時間を含む)
8項目のうち、宿で抜けやすいのは教育係の時間です。担当者の名前だけ決めて、シフトに時間が入っていないと、教育が「空き時間に」になります。空き時間は来ません。
D. 入社初日〜3ヶ月(7項目)
- [ ] 初日に、生活オリエンテーションをした(ゴミの出し方、買い物、病院、交通)
- [ ] 相談窓口を伝えて、実際に1度使ってもらった
- [ ] 役所の手続きに付き添う形を決めた(住民登録、年金、銀行口座)
- [ ] 1週間目に、15分の面談をした
- [ ] 1ヶ月目に、面談と、シフトの希望を聞いた
- [ ] 3ヶ月目に、面談と、仕事の振り返りをした
- [ ] 困りごとが出たら、記録して次の人の準備に足した
あなたの宿の相談窓口は、誰の顔が浮かびますか。窓口は、伝えて終わりだと使われないことがあります。 初日に1度、実際に1緒に使うと、2回目から自分で使えます。
リストを宿の形に直す
このリストは、3箇所を宿ごとに直します。 あなたの宿の形で考えながら読んでください。
1. 住居の項目
寮がある宿、ない宿、通勤圏が広い宿で、やることが違います。ない宿では、「アパートを借りる流れを誰が助けるか」が項目になります。
2. 言葉の項目
日本語が母語でないスタッフが多い宿では、マニュアルと掲示の多言語化が項目に入ります。1人目の受け入れなら、やさしい日本語だけで始める形もあります。
3. 支援の項目
特定技能1号以外の資格(永住者、留学生など)では、支援計画の義務がありません。ただ、義務がなくても、住居と相談の準備は同じように効きます。義務の項目だけ外して、生活の項目は残す形がよいです。
準備が足りないと何が起きるか
4つの時期のどれかが空くと、形の悪いことが起きます。
- Aが空 → 資格と仕事が合わず、入社後に配置で困る
- Bが空 → 条件の行き違いが、入社後に出る
- Cが空 → 初日に来ない、または来ても住む場所がない
- Dが空 → 3ヶ月で「相談できる人がいなかった」となる
4つとも、起きてからでは直すのが重い形です。準備は、起きる前にやるから軽いのです。あなたの宿の穴は、いま何個あるでしょうか。完璧にする必要はなく、27項目のうち空いているものを3つ選ぶ。3つ埋めれば、受け入れの形は1段よくなります。
1人目の受け入れと、2人目以降
1人目の受け入れでは、リストの多くが「初めて」で、時間がかかります。2人目以降は、1人目で記録したことがそのまま使えます。Dの最後の項目(記録して足す)がここで効き、記録が残る宿では3人目の準備が軽くなります。軽くなった準備は、次の人の安心になります。準備の積み上げは、定着の積み上げです。
現場でまず着手できること
A〜Dの27項目を、紙か表に写して、いま埋まっている項目に印を付けてみてください。
印が付けられない項目が、あなたの宿の穴です。穴のうち、次の受け入れまでに間に合うものを3つ選んで、担当と期限を書きます。
受け入れが決まっていない宿でも、このリストは使えます。「いつか人が来るとき」の準備として、Aの7項目だけ先に決める形もあります。住居の形と支援の委託先を決めておけば、求人はいつでも出せます。